腎癌(腎臓ガン)・症状・検査・療法

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腎癌(腎臓ガン)・構造・症状・転移・検査・療法



     
§1 腎癌(腎臓癌)


     
腎臓は奥深い位置にある臓器です。腹部の後方、脊椎の腰あたりの左右両側に一対ずつあります。血液によって

     老廃物が腎臓に運ばれてきますと、それを濾過し不要なものが尿として体外に排泄されますが、その濾過という

     重要な働きをしています。
          -腎臓の解剖学的位置-
腎癌は腎細胞癌と腎盂癌に大別されますが

、腎細胞癌は尿をつくる腎細胞の尿細管に

発生するもので、腎盂癌は尿をためる腎杯

や腎盂に発生します。(腎臓の構造もご覧下

さい)悪性腎癌の殆どは腎細胞癌です。腎癌

は一対の腎臓の両方に発生することはまれで

、殆どのタイプは腺癌です。腎癌の好発年齢

は50〜60歳代で、ほぼ40歳以降に発生

します。とはいえ、近年ではその発症年齢は

若年化傾向にあります。女性より男性に多い

癌で、女性の2〜3倍の比率になっておりま

す。

腎癌は北欧諸国が多いとされますが、人種的なものとも一概に言えず、食生活や、環境の影響もいわれており、

タバコや動物性脂肪食品の関係は、取り上げられております。また、家族性の腎癌もまれにはあると指摘されて

おり、遺伝的な要因もあるものと考えられます。長期透析患者では萎縮腎が確認される場合には、膿胞の形成

から膿胞内に腎癌が確認される例が指摘されております。







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     §2 腎臓の構造


             -腎臓の構造-
腎臓は、肝臓の存在の関係から右腎は左腎

より若干低い位置合いにあり、腎静脈は左

腎静脈が右腎静脈よりも倍以上も長い。動

脈とほぼ平行に走っている。外側に膨らみ

、内側にへこむソラマメ型をしている臓器

で表面は薄い繊維性被膜と脂肪組織に覆わ

れています。腎洞には腎盂、腎杯や腎門か

ら入ってきた血管や神経が収まっておりま

す。腎動脈からは多量の血液が流れており

糸球体、尿細管周囲の血管に入り、血漿の2

0%が濾過され150g/日の減尿が生成さ

れますが、糸球体で濾過された血漿の99%以上は尿細管及び集合管で血液中に再吸収され尿として排泄される

ものはわずか1%以下といわれます。



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     §3 腎癌(腎臓ガン)の症状


     腎癌は健康診断や、他の病気の検査の際にたまたま早期に発見される事が多い。この様なケースは小さな腫瘍

     ですが、進行癌では血尿、腎部の腫瘤、痛み(腎部疼痛)がその主症状となっております。血尿は全体の50%

     に確認されるものですが、肉眼ではなく顕微鏡的な検査で発見されます。それは発熱や腹痛を伴わない無症候性

     のものが殆どです。腹部腫瘤は側腹部に出来る瘤で気づくものですが、全体の10%程度です。腎臓の下方の

     もの、大きなものは触診でわかります。腎部疼痛は上腹部も鈍痛、不快感、圧迫感が全体の20%程度を占め、

     腫瘍の大きさに関係しています。その他発熱が全体の2〜5%程度に確認されるものですが、発熱誘導物質を

     腎癌の細胞あるいは、腫瘤内のリンパ球が作り出すためではないかと考えられております(腫瘤を摘出すれば

     熱も下がります)。そのほかには体重減少、出血による貧血、食欲不振、下痢などの症状も確認されることが

     あります(腎癌の進行している事を示します)。







     §4 腎癌(腎臓ガン)の転移


     
初診の際には10%程度の人に骨痛、骨腫瘤、四肢の痺れ、咳などがみられ、転移症状として確認されており、

     腎癌の転移先の主なものは肺と骨です。




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     §5 腎癌(腎臓ガン)の病期

           -腎癌の病期図解-
進行期 進行の状況
T期 腫瘍が腎臓の中に留まっている
U期 腫瘍が腎臓の被膜を超えて浸潤し、周囲の脂肪組織を侵襲している。
V期 腫瘍は腎静脈や下大動脈へ浸潤し、あるいは周囲のリンパ節へ転移する。
W期 腫瘍が隣接する傍臓器へ浸潤している、あるいは遠隔臓器に転移を認める。

初診時の病期の進行度は、T期/57%、

U期/11%、V期/8%、W期/24%と

成っておりまして進行期のV、W期の患者

さんは30%強になっている状況です。こ

の数字からも初期症状が乏しい事がわかり

ます。

予後は5年生存率ではT期/84%、U期/62%、3期/32%、4期/19%です。病期の進行に伴い生存率

は大きく低下します。早期発見が重要です。初期症状が乏しいので早期発見は難しいと思われますが、他の

検診時に、早期発見されるケースはままあり、検診の機会を利用することや、逃さない事は腎癌の場合には、

とても大切に思われます。



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§6 腎癌(腎臓ガン)の検査


     
関連検査値・基準値/腎癌


     尿量尿蛋白尿潜血




     
§6−1 血液検査/腎癌(腎臓ガン)


     血液検査で、血沈の異常、CRP陽性、低蛋白血症、高カルシウム血症、肝機能異常、などが見られたり、まれに

     ホルモンを分泌する腫瘍が発生する事もあります。エリスロポイエチン産生腫瘍では、赤血球増多症が、上皮

     小体ホルモン様物質産生腫瘍では高カルシウム血症が認められます。慢性胆汁鬱滞型の肝機能異常が認められ

     る場合があります(腫瘍摘出で消失するが、症状が続くようであれば再発も考えられます)。






     
§6−2 尿路造影法(腎盂造影法)/腎癌(腎臓ガン)


     造影剤の注入の方法としては静脈内に注入し、腎臓からの排泄状況をX線で腎盂や腎杯の変形状況などを観察する

     方法と、膀胱から尿管を経由し腎盂内に細いカテーテルを挿入して、造影剤を腎盂内に直接注入し、X線による腎盂

     や腎杯の状況を確認する方法がありますが、早期発見は困難です。





     
§6−3 超音波検査(腹部エコー検査)/腎癌(腎臓ガン)


     安全性の高い検査で簡便に、時間も比較的速く検査できる方法で、スクリーニングとしても優れ、小さな腫瘍の

     発見や、鑑別診断にも優れています。



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§6−4 CT検査/腎癌(腎臓ガン)


     腎癌の内部の状態や周囲の組織への広がりを、正確に把握できる方法で、殆どの腎癌の確定診断として用いられ

     ます。造影剤を用いた陰影は腫瘍部分が明瞭な濃淡で捉えられ、さらに腫瘍の腎静脈や下大動脈への浸潤、リンパ

     節転移、周囲臓器への浸潤状況などの確認ができます。






     
§6−5 MRI検査(磁気共鳴撮影法)/腎癌(腎臓ガン)


     磁気を利用する方法なので、放射線暴露のない検査方法です。この断層画像診断では腎癌の周囲臓器への浸潤度

     がCTよりも、より正確に診断でき、CTとの併用検査で腎癌の確定診断、浸潤度の把握ができる事になります。





     
§6−6 腎動脈造影法/腎癌(腎臓ガン)


     字義通り腎動脈に造影剤を注入し、腎癌を確定するために行われてきた検査でしたが、CT、MRI検査が非常に優れて

     いるため、またX線による放射線暴露の影響も考えられるため、本検査は減少しております。本方法では、腎動脈の

     数やその位置を知ること、腎動脈塞栓術を行う際の助けになるものです。





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§7 腎癌(腎臓ガン)の療法


          -腎癌の手術例模式図-
§7−1 手術療法/腎癌


基本的な手術の目的は腫瘍細胞が他臓器や

リンパ節に広がる事を防ぐ事ですが、出血

を極力防止するために、腎動脈を結索して

切断します。癌のある側の腎臓周囲の脂肪

組織やリンパ節を切除し、副腎、腎臓をそ

っくり摘除します。残った腎臓の方は、正

常であれば、大きくなり、腎機能もほぼ正

常の値を示すようになります。

腎癌は両側に発生することはまれですが、その場合には腫瘍の大きさを確認して、部分切除や場合により、

両方の腎臓を摘出する両腎摘出が行われる事もあります。この際の後は、血液を体外に導いて血液透析をする

事になります。遠隔転移が認められる場合でも、基本的に原発巣を摘出し、転移先も手術が可能であれば切除

します。







     
§7−2 腎動脈塞栓術/腎癌(腎臓ガン)


     
大腿動脈(足の付け根にある)からカテーテルを挿入し、腎動脈まで導き底に塞栓物質を注入する方法で、腎摘出

     術の時に出血を少なくするために腎摘出術のおよそ1週間前頃に実施します。腎摘出術が不可能な場合でも腫瘍を

     縮小するために塞栓術を実施し、抗癌剤を注入する方法をとる場合もあります。この方法では時間の経過と共に、

     一時的に縮小した腫瘍は腎動脈以外の血管から栄養が供給される事により、再度腫瘍は増大する事になります。

     (塞栓術直後より、一時的に高熱、腎部疼痛、吐き気、嘔吐がみられます。)




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§7−3 化学療法/腎癌(腎臓ガン)


     
抗癌剤は塞栓術や原発巣や転移巣に栄養を送る動脈から薬剤を投与する方法は、有りますが基本的にはあまり効果

     がないので、採用されておりません。






     
§7−4 放射線療法/腎癌(腎臓ガン)


     
放射線療法はあまり効果がないと考えられております。放射線療法が選択されるのは転移巣の切除が出来ない

     場合、手術に耐えられない状況にある場合などです。

また、腎癌は骨や肺への転移が多く、肺に

放射線を照射した場合には癌が消失しても

、周囲の正常な組織に線維化が起こってし

まう事により、肺の機能が低下してしまい

ます。但し、骨転移の場合の疼痛を緩和す

る目的での照射には効果があります。放射

線は消化管に照射した場合には、食欲不振

、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢を、頸部に照

射しますと、嚥下困難、嚥下痛を、頭部に

照射しますとフラツキなどを起こしますが

、一時的なものと考えられております。




     §7−5 免疫療法/腎癌(腎臓ガン)


     
インターフェロン療法は腎癌の腺上皮癌に有効で、治療は2〜3ヶ月は継続してその効果を確認する必要が有り

     ますが、中でも肺転移巣に対してはその20〜30%の患者さんの腫瘍は消失あるいは縮小するとあります。

     ですがその他の転移巣では有効性が高いとは言えない状況です。発熱、倦怠感、食欲不振などの副作用があり

     ますが、療法を中止すれば副作用も消失します。







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